自閉症スペクトラム(高機能に特化)のある人とそのご家族をサポート

りじったー

2014/07/04「ASDさんの《見え方》」

今日は通所者さんが22名来られて、大盛況だったので、チャンスとばかりに
ASDさんの「聞こえ方、見え方」のDVDを、おやつ後に全員に見て頂いた。
このDVDは、発達障害の特性を学ぶ当会の毎月の定例会で、親御さんやご家族さんには
毎年4月、5月の例会で見て頂く物である。
これをご覧になった親御さんは「えっ!」と必ず、驚かれる。
人間は生まれた時からの、自分の見え方、聞こえ方に疑問を持つ事はなく、
人間、みんなこの見え方、聞こえ方だよねと思っている。
他者と比較する事はなく、比較方法も無いから。
ASD当事者さんが次々と本を出して下さったこの10年。
ご自身の身体的な事、脳機能の事を、活字化のお得意なASD当事者さんが本にして下さった
お陰で、私たちは「えっ!そうなんですか!」と学ばせて頂く事が出来た。
そして、その学びを活かした支援を展開している。
バイトにつながった青年が、「今日は仕事で~と言うミスをした」と話しに来てくれる。
何度か聞いているうちに、ひょっとしてあのDVDの見え方?
早速、その青年に見え方のDVDを事務所で見て貰った。
「ええ、こう見えています」
そーなんだ。。。。。
バイト、大変だったねぇ。
とても理解のあるオーナーさんの所でバイトをさせて頂いていたが、オーナーさんに説明をし
辞めさせて頂く勝手をお伝えした。
(オーナーさんご夫妻は、事務局に来所してくださった!本当にありがとうございます!)
その青年がバイトをさせて頂いた事で、彼自身の課題が沢山、明確になった。
自分がそういう見え方をしているなど、今回のバイト経験が無ければ、彼は一生、気づく事は無かっただろう。
「良かったねぇ!気づけて!」と、彼に話したら、「本当にそう思います」とニッコリしてくれた。
これからは、もう一度ノンラベルのトレーニングに戻って、バイトに行く前とは違う段階のトレーニングに
挑戦しよう、となった。
視野が限定されているので、物の見方を工夫すること。
視野は限定されるけど、全体の作業の流れを意識して見ること。
目の前の自分の作業だけではなく、全体のどこに作業の滞りがあるかを判断、臨機応変に場所を
動くこと、ただし、作業指導をしている職員に「~を手伝いますか?」と声かけをしてから動くこと。
今日、22名の通所者さんにDVDを見て頂いた結果、「聞こえ方」についてはDVDに該当する方が結構おられた。(全体の3分の2)
「見え方」の方は、DVDを一度見た位では「ん?」だったと思うが、3名は当てはまると手を挙げて下さった。
「施設から桂川の向かい側にある、綺麗なマンションを見てください。マンションはハッキリ見えるけどマンションの回りはボヤァ~っと見えてますか?」と聞いた。
一人の青年が。「マンションを見てください」と言われると、マンションのみを注視してしまいますから回りはボヤけています、と話して下さった。
またもう一つのASDさんの見え方とされてる「全体を静止画象的に脳が記憶する見え方」の方も
2名が手を挙げられた。
定型者や定型者範疇の人は、マンションを見てくださいと言われても
マンションの周辺、手前、マンションの向こう側、遠くの山などすべてが視野に入る。(キッチリクリアではなくだが)
この見え方一つをとっても、仕事場において、見えてないからミスをする、でも叱られる、
自分に不本意な注意を受ける、もしくは何を叱れられているのか意味がわからずパニックを起こす。
自分に見えてない物を「目の前にあるでしょっ!」と言われても、「見えない、見えてない物は『無い』」のだから
えっ!えっ!えっ!となり、パニックが起きるのは当たり前。
パニックが起きると、ミスが重なる、益々、注意を受ける。
大変である。
しかし、自分の聞こえ方や見え方を自覚できたら『工夫』が出来ます!
働く社会人になって「なるべく不本意な叱られを減らす為のトレーニング」をノンラベルでは提供しています!
オーナーさん夫妻は、
「○○さんが、今回の事で自信を無くされませんように。○○さんより仕事の出来ない人はいます。
 ノンラベルでトレーニングを続けられ、また、私どもの所でバイトをしてみようと思われたらいつでも仰ってくださいね。大歓迎です」
と言ってくださった。
これが「社会の理解」である。
(こんな事を言って下さる経営者さんは、日本国内で一体、何人おられるのでしょうね)

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田井みゆき(精神保健福祉士)
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